コラム
2026/01/21

建設業における労基署等の行政対応ガイド:リスク回避と弁護士の役割

 建設業は、他業種に比べて労働災害の発生率が高く、また長時間労働が常態化しやすい構造にあります。そのため、労働基準監督署(労基署)による調査の対象となりやすく、ひとたび対応を誤れば、刑事事件化される場合もあり、これまで築き上げた社会的信用も一瞬にして地に落ちてしまいます。
 本記事では、建設業の経営者が知っておくべき労基署等の行政対応のポイントと、弁護士へ依頼するメリットを詳しく解説します。

1 労働基準監督署・行政対応の重要性

 建設現場では常に危険が伴い、また工期遵守のために無理な勤務体系が組まれることが少なくありません。こうした背景から、労基署は「建設業」を重点的な監督対象としています。
 特に2024年4月から建設業にも適用された「時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)」により、行政の監視の目はこれまで以上に厳しくなっています。行政対応を軽視することは、単なる「注意」では済まされず、企業の存続を揺るがす経営リスクに直結することを認識しなければなりません。

2 調査対象・報告義務・罰則の整理

⑴ 主な調査の種類

 行政調査には、主に以下の3つのパターンがあります。
定期監督:労基署が年度計画に基づき、ランダム又は重点業種を対象に行う調査。
申告監督:従業員や関係者からの「告発」をきっかけに行われる調査。
災害時監督:重大な労働災害が発生した際、原因究明と再発防止のために行われる調査。

⑵ 報告義務と罰則

 労基署の調査に対して虚偽の報告をしたり、帳簿の提出を拒んだりした場合には、30万円以下の罰金が科される可能性があります(労働基準法120条)。また、是正勧告に従わず悪質と判断された場合には、書類送検されると同時に、企業名が公表されるケースもあります。建設業において、書類送検は公共工事の指名停止にも直結するため、極めて深刻な事態となるでしょう。

3 調査・指導時の注意点(記録・従業員対応)

 労基署の調査が入る際、現場で特に注意すべきは「客観的な証拠」「一貫性」です。

⑴ 記録の整備(証拠の重要性)

 労働基準監督官は必ず、出勤簿、賃金台帳、労働者名簿、36協定の届出状況を確認します。特に建設現場では、現場への直行直帰や車内待機時間などが「労働時間」に含まれるかどうかが争点になりやすいです。日頃からタコグラフやGPS記録、PCのログなど、客観的な記録を整えておくことが不可欠です。

⑵ 従業員への対応

 調査では従業員へのヒアリングが行われることもあります。ここで企業側が口止めをしたり、事実と異なる証拠を捏造したりすることは、労働基準監督官に悪印象を与えるだけでなく、事態をより深刻化させます。誠実な対応を前提としつつ、企業側の意図が正確に伝わるよう、事前の準備が必要です。

4 弁護士が行う行政対応サポート

 弁護士は、単に「法律を教える」だけでなく、実務的な防衛線として機能します。
・事前リーガルチェック:調査が入る前に、現状の就業規則や勤怠管理に不備がないか診断し、是正します。
・調査への立ち会い:労基署の調査当日に弁護士が立ち会うことで、労働基準監督官の不当な追及を牽制し、適切な法的反論を行うことができます。
・是正報告書の作成支援:是正勧告を受けた際、単に「直します」と言うだけでなく、実効性のある改善策を法的な観点から書面化し、労基署へ提出します。

5 労基署等の行政対応を弁護士に依頼するメリット

 建設業特有の事情(重層下請構造、現場ごとの雇用、宿舎提供など)を理解している弁護士に依頼することには、以下のメリットがあります。

⑴ 指名停止リスクの最小化刑事罰や公表を避けるための交渉に注力します。
⑵ 労働災害へのワンストップ対応:労基署対応だけでなく、被災労働者からの損害賠償請求への対応も同時に行えます。
⑶ 業界特有の慣行への理解:「建設業特有の働き方」を法的にどう正当化・改善すべきか、具体的かつ現実的なアドバイスが可能です。

6 建設業の労基署等の行政対応は法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください

 労基署からの呼び出しや立ち入り調査の通知が届いたとき、最も避けるべきは「放置」や「独断での回答」です。行政側は、法律の専門家である労働基準監督官が対応します。企業側も、法的な対抗手段と専門知識を備えて臨むべきです。
 法律事務所瀬合パートナーズでは、建設業・不動産業のクライアント様を多数サポートしてきた実績がございます。現場の混乱を最小限に抑え、企業の信頼を守るための最善のサポートをいたします。
 「是正勧告を受けてしまった」「近々調査が入る予定がある」という場合は、一刻も早く当事務所までご相談ください。

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