コラム
2026/01/23

建設業界における法務・労務トラブルの実情と企業が取るべき対応策

1.建設業界はなぜ法務・労務トラブルが多発するのか

 建設業界は、他業種と比べて法務・労務トラブルが発生しやすい業界といわれています。その背景には、業界特有の構造的な問題が存在します。

⑴ 重層下請構造が生み出す法的リスク

 建設工事は元請から一次下請、二次下請へと業務が重層的に流れていくケースが一般的です。この構造により、契約関係が不明確になりやすく、責任の所在や支払条件を巡る紛争が生じやすくなります。

⑵ 人手不足・高齢化が進む建設業界の実情

 慢性的な人手不足と高齢化により、現場では無理な工程管理や長時間労働が常態化しがちです。その結果、労務トラブル等が発生するリスクが高まっています。

2.建設業で頻発する契約トラブルと注意点

⑴ 工事請負契約書を作成しないまま着工するリスク

 口約束や簡易な見積書のみで工事を開始すると、工事の範囲や報酬を巡り当事者間で紛争が生じてしまうリスクがあります。契約書の作成はトラブル予防の第一歩です。

⑵ 追加工事・設計変更をめぐる紛争

 追加工事・設計変更を正式な書面を作成せず、曖昧なまま進めてしまうと、変更等に関する合意はしていないとして、追加代金等に係る請求が拒まれる恐れがあります。契約締結時だけでなく、変更時においても書面での合意が不可欠です。

⑶ 工期遅延・天候不順による損害賠償問題

 天候不順による工期遅延など、建設業ならではの事情をどう扱うかは契約内容次第です。このような事情があった場合に、工期をどうするか、損害賠償責任が発生するか等について明確にしておかなければ、注文者等から高額な損害賠償請求を受ける恐れがございます。

3.建設業特有の労務トラブルと企業の責任

⑴ 長時間労働・休日出勤をめぐる残業代請求

 現場優先の意識から労働時間管理が甘くなり、後に未払残業代請求へ発展するケースは少なくありません。法律に則り労働時間を適切に管理することが大切です。

⑵ 一人親方・業務委託が労働者と判断されるケース

 形式上は一人親方・業務委託でも、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無、業務遂行上の指揮監督の有無、報酬の労務対償性等を踏まえ、「労働者」と判断される可能性があります。

⑶ 現場事故発生時の使用者責任・安全配慮義務

 事故発生時には、元請・下請を問わず、使用者責任や安全配慮義務違反に基づき損害賠償請求を受ける可能性があります。そのため、労働環境の改善、危険防止措置をとるなど現場への適切な配慮が求められます。

4.下請・協力会社との関係で起こる法務トラブル

⑴ 改正下請法(取適法)について

 近年の法改正により、下請取引の適正化がより厳しく求められています。
建設業界においても、建設工事そのものは、建設業法がその適用対象となるものの、設計図面の作成などのように取適法が適用対象となる場合もあります。

⑵ 代金の未払・減額をめぐるトラブル

 支払期日までに代金を支払わないこと及び中小受託事業者に責任がないのに、発注時に決定した代金を発注後に減額することは、取適法に違反することになります。代金は契約に従って、適切に支払う必要があります。

⑶ 取適法違反と罰則等のリスク

 違反が発覚すれば、事業所管省庁による指導、公表・勧告、さらに最高50万円の罰金が科せられるなどのリスクがあります。

5.建設業法・労働法違反による行政対応リスク

⑴ 建設業法違反で指摘されやすいポイント

 建設業許可を受けていないにもかかわらず、軽微な工事の金額以上の工事を請け負った場合(無許可営業)、主任技術者・管理技術者の専任を要する工事で技術者を専任していなかった場合(技術者の不選任)など、基本的な点が指摘されるケースは少なくありません。

⑵ 監督処分・許可取消に発展するケース

 建設業法に違反した場合、許可行政庁より監督処分が行われます。
監督処分には、指示処分、営業停止処分、許可取消処分があり、違反の態様、程度等に応じて処分の内容は決まります。

6.建設業におけるクレーム・紛争対応の実務

⑴ 施主・元請からのクレーム対応の初動

 初動対応を誤ると、問題が一気に深刻化します。事実確認と冷静な対応が重要です。

⑵ 訴訟・調停・紛争解決に発展するケース

 工期遅延などのトラブルが発生したものの、話し合いで解決できない場合、調停や訴訟などの法的手続を見据えた対応が求められます。

7.瀬合パートナーズができること

⑴ トラブルを未然に防ぐ契約書・現場ルール整備

 実務に即した契約書とルール整備で、訴訟等に発展することを未然に防ぎ、紛争リスクを低減します。

⑵ 現場実務を理解した迅速な法的判断

 建設業特有の事情を踏まえた、スピーディーで現実的な対応が可能です。

⑶ 契約・労務・事故対応を一括して任せられる安心感

 契約・労務・事故対応などの分野ごとに相談先を探す必要はありません。一括して対応いたします。

⑷ 経営者が安心して現場と経営に集中できる体制

 法律事務所瀬合パートナーズでは、建設業に関する様々な問題のご相談を多くいただいております。法務・労務の不安を解消し、本業に集中できる環境づくりをサポートいたします。お気軽にご相談ください。

 

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