コラム
2025/12/08 2025/12/12

建設業における債権回収

1 建設業における売掛金・未収金回収の重要性

 建設業では、下請業者・材料業者・元請業者など多くの取引先との契約関係が複雑に入り組んでいます。そのため、完成した工事の代金が支払われないリスクが高い業界です。特に、下請業者にとっては請負代金を回収できないと、資金繰りが悪化し、経営破綻に至るケースも少なくありません。また、建設業は資材費や人件費などの支出が先行する構造であるため、売掛金の回収が遅れるとキャッシュフローが悪化します。
 したがって、迅速かつ確実な債権回収は、企業の健全な経営基盤を維持する上で極めて重要です。

2 債権回収で生じやすいトラブルと法的手段

 建設業の債権回収では、しばしば以下のようなトラブルが生じます。

 ・工事内容や出来高に関する認識の相違
 発注者が「契約どおりの工事が完了していない」と主張し、支払いを拒むケース。
 ・追加工事・変更契約の口頭合意
 書面がなく、請負代金の範囲が不明確なため、支払い義務の有無が争われる。
 ・元請・下請間の連鎖的未払い
 上位業者の資金難により、下請業者への支払いが滞る。
 ・相手方の倒産・夜逃げ
 回収どころか所在不明となり、請求自体が困難になる。

 こうしたトラブルを解決するためには、これから述べるように、内容証明郵便による請求、支払督促、民事訴訟、強制執行といった法的手段を用いることが有効となります。

3 支払督促・訴訟・強制執行の流れ

 債権回収の一般的な流れは以下のとおりです。

 ・任意の請求: 内容証明郵便などで支払いを促す。これにより法的手続き前に解決する  ケースも多い。
 ・支払督促:債権者の申立てにより、その主張の真否について実質的な審理をしないで、裁判所がその給付を命じる手続き。債務者に異議がなければ訴訟よりも簡易迅速に、債務名義の取得が可能になる。
 ・民事訴訟:債務者が支払いを拒む場合、訴訟を提起。判決で勝訴し、確定すれば、債務名義として強制執行が可能になる。
 ・強制執行:判決が確定しても支払われない場合、債務者の不動産・預金・売掛金などを差し押さえて回収する。

4 弁護士による債権回収の方法とポイント

 弁護士が関与することで、以下のような戦略的な回収が可能になります。

 ・交渉力の強化
 弁護士名義での内容証明郵便は、相手に法的リスクを意識させ、早期解決を促します。
 ・訴訟・保全のスピード対応
 相手の資産隠しを防ぐために、仮差押え等の保全措置を迅速に講じ、訴訟を提起する等により、事案に応じて効率的に債務名義の取得を目指します。 
 弁護士は、単に「請求する」だけでなく、「最も効率的かつ確実に回収できるルート」を設計します。

5 建設業における債権回収成功事例

 相手方から請け負った仕事の代金が支払われず、当事務所にご依頼された案件で、弁護士が内容証明郵便にて請負代金約50万円を請求したところ、支払期限までに全額回収することができました。
このように、弁護士の介入によって回収可能性が大きく高まる事例は多くあります。

6 弁護士に依頼するメリットのまとめ

 弁護士に債権回収を依頼するメリットは、法的手続を迅速に行うことで、時効や債権回収ができなくなるリスクを防止すること、弁護士名義の通知による心理的なプレッシャーをかけ、支払を促すことが出来ること、交渉段階から訴訟・強制執行まで一貫して対応でることという「専門知識・交渉力・法的強制力」を一体的に活用できる点にあります。

7 建設業の債権回収は法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください

 建設業の債権回収は、契約関係の複雑さや証拠の不備などからトラブルが多発します。自社のみでの対応には限界があり、専門的な知見をもつ弁護士の関与が不可欠です。弁護士に依頼することで、早期解決・確実な回収・法的リスクの最小化が実現でき、企業の資金繰りと信用を守ることにつながります。
特に、未回収金を放置することは経営上の致命傷となりかねませんので、建設業の債権回収は法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。

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