1.建設業経営者が直面する不動産相続の課題
建設業を営む経営者にとって、「土地・建物」は、単なる資産にとどまらず、事業の基盤となるものです。特に、事務所や資材置場、作業ヤードなどの不動産は、事業の継続性に直結する重要な資産であるといえます。
しかし、これらの不動産が経営者個人の名義となっている場合、相続が発生すると、相続人間での共有状態や遺産分割をめぐるトラブルに発展することがあります。
また、建設業許可を維持するためには「事業継続性の確保」や「経営業務の管理責任者」の在籍が求められますが、不動産の承継をめぐる混乱が原因で事業が停滞したり、資金繰りに影響が出るケースも少なくありません。
そのため、建設業経営者にとっては、事業資産としての不動産をどのように円滑に承継するかが極めて重要なテーマとなります。
2.相続トラブルの典型例(共有名義・寄与分・特別受益)
不動産の相続では、例えば、次のようなトラブルがよく見られます。
(1)共有名義の問題
相続人全員で土地や建物を共有名義にすると、当該不動産の売却や担保設定、建替えの際に相続人全員の同意が必要になります。そのため、一人でも反対する相続人がいれば、事業用地の活用ができないこととなり、これにより、建設業の経営に支障をきたすことがあります。
(2)寄与分の主張
例えば、長男が被相続人である父の建設会社を支え、会社の発展に尽力してきた場合、「自分の貢献が考慮されるべきだ」と主張して、寄与分を求めるケースがあります。
一方で、他の相続人がこれに納得しない場合には、別途寄与分を求める調停が申し立てられる等、遺産分割に関する紛争が長期化してしまうことがあります。
(3)特別受益の問題
被相続人の生前に、同人から自宅や事業用地の取得資金を援助してもらっていた相続人がいる場合、当該相続人はすでに生前贈与を受けているとして、相続分を減らすかどうかが争点になります。これらの問題は感情的対立を生みやすく、親族関係の修復が困難になることもあります。
3.相続が建設業経営に与える影響
被相続人名義の不動産に関する遺産相続の問題は、建設業の経営に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
例えば、事業用地の名義が相続人共有のまま放置されると、金融機関からの融資が受けにくくなり、資金調達や設備投資が難しくなるおそれがあります。また、相続人らの相続税の納付資金を確保するために、事業に必要な土地を売却せざるを得なくなるケースもあります。
経営者の死亡後、会社の実権を誰が握るか不明確なままでは、取引先や従業員の不安を招き、経営の安定を損なうおそれもあります。
したがって、経営者は、生前から、遺言や事業承継計画を通じて、土地・建物の相続を見据えた準備を行うことが望ましいです。
4.弁護士が行う相続財産調査・遺産分割協議サポート
弁護士は、遺産分割協議等、遺産相続に関するご依頼を受けましたら、まず相続財産の全体像を把握するため、登記簿謄本・固定資産税評価証明書・預貯金・株式などの調査を行います。そのうえで、相続人全員の意向を整理し、法的根拠に基づいた公平な遺産分割案を提示します。また、感情的対立が深い場合には、弁護士が代理人として相続人間の交渉を行い、冷静で建設的な協議の進行をサポートします。万が一相続人間で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での調停・審判手続きも見据えた対応を行います。
5.土地・建物に関する相続紛争対応事例
弁護士が、事業継続の必要性を考慮し、相続人のひとりが事業を継ぐために必要な資産を相続し、他の相続人が相続分を他の財産や現金にて受け取ることができるような遺産分割案を提案して相続人らを説得し、解決した事例があります。
6.建設業の土地・建物の相続問題を弁護士に依頼するメリット
建設業の土地・建物の相続問題では、一般的な相続問題に加えて、「事業承継」「法人名義・個人名義の整理」「許可維持」など、複合的な法的課題が生じます。
建設業の土地・建物の相続問題を弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
①不動産・事業資産の法的整理を一括して対応できる
②相続人間の利害調整を中立的立場で進められる
③税理士・司法書士・土地家屋調査士と連携した包括的支援が可能
④将来のトラブルを未然に防ぐ遺言・事業承継スキームの提案ができる
このように、経営資産を守りながら、円滑な事業承継を実現するためには、法的・実務的な知識を兼ね備えた弁護士の関与が不可欠です。
7.建設業の土地・建物の相続問題は法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください
法律事務所瀬合パートナーズでは、建設業をはじめとする事業経営者の方から、多くの不動産・相続問題のご相談をいただいております。相続人間のトラブルを未然に防ぐための生前対策から、遺産分割協議・相続登記・事業承継支援まで、ワンストップで対応いたします。
土地や建物の相続は、放置すると事業にも家族にも大きな影響を及ぼします。経営者としての想いと事業の未来を守るために、早めのご相談をおすすめします。
相続・不動産問題に強い弁護士が、最適な解決策をご提案いたします。


