コラム
2025/12/05 2025/12/19

労務問題(問題社員対応・解雇・未払残業請求・団体交渉等)

 建設業界では、現場作業員や事務職員など多様な雇用形態が存在し、労務管理が複雑になりやすい業種です。そのため、問題社員対応や解雇トラブル、未払残業請求、団体交渉といった労務問題が発生するケースも少なくありません。ここでは、建設業特有の労務トラブルと、弁護士による解決支援のポイントを解説します。

1.建設業特有の労務トラブル

(1)問題社員対応・解雇トラブル

 建設現場では、勤務態度の不良、指示への不従順、安全管理上の問題などが原因で「問題社員」とされるケースがあります。しかし、感情的な対応や即時解雇は法的トラブルを招くおそれがあります。
 懲戒処分や解雇を行う際には、就業規則の定め、懲戒事由の明確化、事前の注意指導や改善機会の付与が必要です。特に「能力不足」「勤務態度不良」を理由とする普通解雇では、解雇の合理性・社会的相当性が厳しく問われます。

(2)未払残業請求対応

 建設業では、現場の始業・終業時間が曖昧になりがちで、「実際には長時間働いているのに残業代が支払われていない」と主張されるケースが増えています。
 タイムカードのない現場では、出勤簿・日報・LINE等のやり取りが労働時間の立証資料として用いられることもあります。未払残業請求への対応には、勤怠管理の適正化と証拠の整理が欠かせません。

(3)団体交渉

 近年は、建設業でも労働組合が介入し、団体交渉の申し入れを受ける事例が見られます。「合同労組」が交渉を求めてくるケースもあります。
 団体交渉を一方的に拒否すると、不当労働行為(労働組合法第7条)に該当する可能性があります。経営者としては、誠実な対応姿勢を保ちつつ、交渉の範囲や内容を適切に整理することが重要です。

2.弁護士による労務問題解決の支援方法

 弁護士は、建設業特有の現場事情を踏まえながら、次のような形で支援を行います。
・懲戒・解雇の適法性チェック
 解雇事由や手続を精査し、訴訟・労働審判に耐えうる書面整備を行います。
・未払残業対策の整備
 就業規則・36協定・勤怠管理体制の見直しを行い、トラブル予防を図ります。
・団体交渉の同席・代理対応
 労働組合との交渉に弁護士が同席し、法的観点から経営側の立場を守ります。
・訴訟・労働審判の代理
 労働審判・訴訟・労基署対応など、実務的な場面で迅速に対応します。

3.実務での労務トラブル解決事例

事例1:問題社員への対応
 ある建設会社で、再三の指導にもかかわらず現場での安全規則違反を繰り返す社員に対し、弁護士の助言を受けながら懲戒手続を適正に進め、最終的に有効な解雇を実現しました。事前に指導記録や注意書面を残していたことが決め手となりました。

事例2:未払残業請求への対応
 別の企業では、元従業員から数百万円規模の未払残業請求を受けましたが、弁護士が日報・現場記録をもとに実労働時間を再計算し、請求額を大幅に減額することができました。

4.建設業の労務問題を弁護士に依頼するメリット

・現場実態に即した助言が受けられる
 建設現場の特殊な勤務形態や下請関係を理解した上で、法的に適切な対応を提案します。
・トラブルの早期解決・再発防止
 感情的な対立を抑え、冷静かつ実務的に解決策を導きます。
・訴訟リスクの低減
 手続違反や不当解雇などの主張を防ぎ、会社を守るための予防法務を実現します。

5.建設業の労務問題は法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください

 建設業における労務トラブルは、放置すれば会社の信用や事業継続にも影響を与えかねません。
 法律事務所瀬合パートナーズでは、建設業を中心とする事業者様の労務問題を多数取り扱っており、現場の実情に合わせた実践的なサポートを提供しています。
 労務管理の改善、就業規則の見直し、労働審判・訴訟対応まで、まずはお気軽にご相談ください。

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